主な保全サイト

NPO法人三浦半島生物多様性保全では、谷戸田の復田を中心に、管理の手が離れた里山での伝統的管理を再開しています。

田んぼの多くは私有地で、地権者の方のご厚意で保全させていただいています。
無断立ち入りはできません。観察等ご希望の際は当会までお問合せください。

キチジ谷戸

キチジ谷戸

横須賀市長沢に位置し、2009年、当会で最初に復田活動を始めた谷戸です。
元々は横須賀を代表する典型的な美しい谷戸田でしたが、30年間休耕していたためにほぼ全面がオギの群落となっていました。
これまでの活動で全面に手を入れられましたが、まだ細かい地形までは復元できていません。
それでも、ヘイケボタルやトウキョウサンショウウオなど、貴重な生き物は徐々に増えてきています。
背後に武山を背負っており、他の野生動物たちとの出会いにも期待できます。
毎月1回、逗子葉山親子自然教室「つちのこの会」と一緒に楽しく、濃厚な田んぼ体験活動をしています。
約3000㎡

かがみ田

かがみ田

横須賀市 野比に自然状態で残る最大規模の谷戸です。
かつてゴミ処理場として埋め立てるために横須賀市が買収を進めていましたが、反対運動により頓挫していました。その後行政計画が変更され、里山的環境保全活用事業が始動しました。

現在は市民協働として横須賀市自然環境共生課と自然環境団体が協議会を構成して保全を進めています。湿生草地ビオトープ、イネを植えない田んぼ、水田の3区分にゾーニングしています。

風早の谷戸

風早の谷戸

横須賀市芦名にある谷戸です。
サガミ(株)の支援によりかながわ環境整備センターとの協働で谷戸の保全活動をはじめました。

風早は同センター建設の際に県が買収した谷戸で、休耕からわずか10年しか経っていませんでした。

復田して2年目からヘイケボタルやヤマアカガエルが大発生するようになりました。活動区域の上流側は横須賀市の土地となっており、連携した保全活動が期待されます。
約15000㎡

風早の谷戸
風早の谷戸
風早の谷戸
風早の谷戸

休耕田が田んぼになるまでの風早の谷戸のようす

堰ノ谷戸

堰ノ谷戸

横須賀市芦名のSHOKU-YABO農園内にある田んぼです。

全面がアズマネザサ群落だった休耕田を農園に造成するときに、一部だけ田んぼとして保全させてもらいました。

大楠山の麓には水田が全くないために、堰ノ谷戸のようなほんの小さな田んぼでもヤマアカガエルやシュレーゲルアオガエルにとっては大変貴重な水辺となっています。
SHOKU-YABO農園で完全無農薬のおいしいお昼ご飯を食べたあとは、田んぼで生き物観察などしてみてはいかがですか。

2010年から復田を始め、地元のこども園や市民団体と一緒に田んぼや芦名堰で観察会やモニタリング調査を行っています。
約100㎡

沢山池の里山

沢山池の里山

横須賀市「里山的環境保全・活用事業」の一環で復田している、横須賀市長坂に位置する谷戸です。昭和10年頃に作られた沢山池に隣接していますが、今はこの池は役目を終えて水がほとんど抜かれてしまっています。

田んぼは長年休耕されていたために、ほぼ全面がアオキやアズマネザサの群落となっており、田んぼだった当時の面影はほとんど残っていません。湿地の生き物もかなり減ってしまったと思われましたが、一部を水田に戻したところ、すぐにシュレーゲルアオガエルやヒメゲンゴロウが観察できるようになりました。

 

2013年から徐々に復田を始め、多くのボランティアと長坂地域の学校や町内会の方々に支えられて賑わっている(約50000㎡〜)フィールドです。

2018年からは、(公財)日本自然保護協会、(株)ラッシュジャパンと協働で、サシバの舞うような生物多様性の高い谷戸を再生させる取り組みを開始し、現在までに約4000㎡の水田や湿地を新たに復元しました。また、ここで取れたお米や稲藁は、ラッシュが生産するオーガニック製品の原材料として使われています。

久保・二俣

久保・二俣

三浦半島は、横浜市南部から逗子市、葉山町、横須賀市へと標高200m級の三浦丘陵が連なっています。
しかし横須賀市長井と三浦市だけは、高くても標高50mほどの台地で形成されている土地です。
その横須賀市長井に位置する三浦半島では珍しい台地性の谷戸田です。
長年休耕されていたためにヨシやキショウブが一面繁茂していますが、2013年から徐々に復田を始めています。
ようやく水がたまり始めた湿地ですが、この先ここではいったいどんな生き物が保全されてくれるでしょうか。
環境への意識の高い地元有志のかたと協働で、現在は月に2回の定例の作業日を設けたり、田んぼ体験ワークショップを開催したりしています。
約2000㎡

池下

池下

三浦市最大の農業用水池、小松ヶ池の水をひいてこしらえている田んぼです。
三浦市は冬作の野菜作りが大変盛んで、水田のように経済性の低い圃場はほとんどすべて埋め立てられてしまいました。
導排水等の近代的な圃場整備がされた水田はまだ数カ所残っており、農家さんが自家米として作っているところがありますが、「池下」のように圃場整備がされないまま残っている谷戸はここを含め3カ所しかありません。
その中で、実際に田んぼとして保全されているのは三浦市内では唯一です。
三浦半島では貴重となってしまった台地性の谷戸で、激減してしまったニホンアカガエルも観察できます。
ここでは「三浦の自然を学ぶ会」と協働で2010年から保全しています。
約1000㎡

若芽の里

若芽の里

衣笠山の麓で先祖代々受け継がれてきた屋敷林を、所有者の方からの遺言により日本ナショナル・トラスト協会にご寄付いただきました。近郊緑地特別保全地区に指定されている衣笠山公園のまとまった緑地と隣接しています。周辺で住宅開発が進む中、里山の原風景が残る貴重な場所となっています。
2017年から活動を始め、地域の小学校とともに復田を行ったり、梅や栗の果樹園、ヤマシギやアズマヒキガエルのいる湿地など、衣笠駅から徒歩10分とは思えない多彩な環境を有しています。今後も、四季折々の環境体験ワークショップを展開していきます。
約4000㎡

若芽の里
若芽の里
若芽の里

大谷戸

大谷戸

葉山町木古庭に位置する谷戸で、大半は横浜横須賀道路の造成時に埋め立てられてしまっています。葉山町の里山の魅力創出事業として、2018年から復田や草地の保全作業を中心に活動を行っています。

特に造成跡地にできた広大な草地は、かつて点在していたカヤトの環境を彷彿とさせ、ノウサギやホオジロなど草地性の生物を身近に観察することができます。水田は全面がアズマネザサ群落となっており、復田が完了するまでには時間がかかりそうです。伐採した木はチップ化し、歩きやすい遊歩道にしてあるので畠山まで登ることができます。今後は農体験や自然観察会等を通して、下山川流域に多く眠っている谷戸田再生の先駆けになればと思っています。
約20000㎡

庄ノ田

庄ノ田

横須賀市武に位置する谷戸で、耕作していた農家さんから休耕ブランク無く農作業を受け継ぐことができました。そのため、数年休耕すると絶えてしまうマルタニシが生息しており、三浦半島では貴重な存在となっています。畦や山裾も荒れておらず、本来の田んぼづくりの参考になっています。

見通しが良いため野鳥が多く飛来し、スズメの群れだけでなくコチドリやオオタカも頻繁に訪れています。今後も援農を通して推進していきます。
約4000㎡

湘南国際村めぐりの森

湘南国際村めぐりの森

開発が中止となった湘南国際村BC地区を、自然豊かな里山に戻そうと「三浦半島自然ふれあい楽校」を立ち上げ、運営しています。
今では見られなくなった広大なススキ草原を維持管理したり、地元小学校と一緒にコナラやオオシマザクラなどを植樹しています。カヤトの維持のためには毎年全てのススキを刈り取る必要があり、最終的には茅葺き屋根への活用ができることを目指しています。

毎年夏と秋に、一般向けの自然観察会や学習会を企画しているほか、毎月子どもたちへの環境学習を行っています。
約80000㎡

湘南国際村めぐりの森
湘南国際村めぐりの森
湘南国際村めぐりの森

扇子畑

扇子畑

弥生時代の遺跡のある段々畑で、水田はありませんが伝統的な台地性の畑地環境となっています。面積の半分は畦や斜面林で、野生生物と共存した農地になっています。野菜作りでも化成肥料や農薬は一切使わず、持続的で環境に優しい農作業を目指しています。

既に何年も放置されていましたが、植えられていた果樹も徐々に剪定し、気持ちよく過ごせる空間となっています。麦は主にここで作付けしています。横須賀ジュニアビレッジなど、多彩な農体験活動を通して活用しています。
約7000㎡

扇子畑
扇子畑
扇子畑
扇子畑

芝ノ田

横須賀市長坂に位置する、5段ある田んぼです。農業委員会からの依頼で2020年から保全活動を始めています。周囲は畑と住宅地が多く、この地区の中では唯一の水田となります。1980年代から休耕されており、現在は水源も断たれていますが、雨水を使ってなんとか水を溜めています。地形としては大きな谷戸の一部分で、木立も無いところですが、野鳥のちょっとした休息場所として、この周辺では大切な場所になっているようです。さっそくアマガエルやヤマアカガエルがどこからともなく訪れるようになりました。冬場は麦を作付けしながら、徐々に土を作っていこうとしています。約3000㎡

焼木

横須賀市岩戸の焼木の谷戸です。農業委員会からの依頼で2020年から保全活動を始めています。何人もの地権者が持っている広大な谷戸ですが、そのうちの一部を地元の小学校と一緒に復田しています。休耕歴は大変長く、1960年代からのようで、既に飽和状態のササ藪や大径になったエノキなどが生えるうっそうとした状態です。田んぼの地形を再現する荒療治から始めています。さっそくアマガエルやアキアカネが訪れるようになりました。この古道をゆくと、佐原、岩戸、久村へ抜けることができます。約1000㎡

堀越

佐左衛門

横須賀市長坂に位置する、谷戸よりも開けた農村環境です。周囲には見事な茅葺きの農家が何軒も残っているような地区です。休耕歴は30年程度ですが、草刈りを定期的にされていたたために畔の植物はよく残っており、秋にはワレモコウやオグルマなどがきれいに咲きます。また、キジやフクロウが住み着いており、湿地の茂みの中からはヒクイナの鳴く声も聞こえてきます。狭い谷戸よりも開けた水田で、周りの環境とセットで残っているのは三浦半島では大変貴重です。所有者の援農として2020年から保全活動を始めています。敷地内の納屋では、唐箕や桶など三浦半島内で改修した古民具を整理しながら、今でも現役で使っています。約3000㎡

佐左衛門では2033年の茅葺き屋根復原を目指して寄付を募っています。

古民家再生の寄付募集

妙蔵寺

横須賀市池上の妙蔵寺の境内にある、樹林や竹林を中心としたみどりです。2012年から保全活動を始めています。周囲は住宅街に囲まれていますが、1haにおよぶ森にはフクロウやタヌキが生息し、たくさんのカエルや昆虫で賑わうようになりました。近所の子どもたちのオアシスにもなっています。妙藏寺では、ここの竹を使って竹灯篭を作り、大晦日の除夜の鐘のデコレーションとして活用しています。また、様々な希少生物の種の保存にも協働で取り組んでいます。

高祖坂

葉山町木古庭で奇跡的に一度も休耕歴のない谷戸で、所有者の高齢化により2019年から援農として保全活動を始めています。ずっと水をたたえていたことから、水路にはドジョウもまだ生息しています。奥には溜池があり、家周辺の果樹のほか竹林、杉林、楠林がまとまって存在している、里山の風景として安定的に環境が保たれているフィールドです。立派な藏や長屋門があります。外来生物のモリアオガエルが増えてきていることが気がかりです。既に2割程度休耕している部分があり、徐々に湿地を再生できればと考えています。

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