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自然観察会のお知らせ

姿を見せない動物を探る

内容

ふだんは人を避けて活動している野生動物。でも、確実にこの地域に生息しています。

さて、あなたならどうやってその気配を探りますか?彼らは必ず自分たちのいる「証拠」を残しています。今回はみんなで野生動物の探偵になりましょう。

足跡、ふん、食べ後、そしてセンサーカメラで動画を撮影してみましょう。今回は大楠山に広く生息している中型哺乳類を中心に探ってみます。他にも野鳥や越冬している昆虫を観察してみましょう。

予約方法

シテコベからお申し込みください。

集合

ひにち:2021年1月9日

時間:9:00〜14:00ごろを予定
集合:湘南国際村センターバス停
(バスはJR逗子駅東口1番乗り場8:30発、京急逗子・葉山駅南口1番乗り場8:32発、汐入駅8:09発「湘南国際村センター前」行きにご乗車ください)

※駐車場はコロナの関係で閉鎖されていますのでご注意ください。

持ち物:お弁当、水筒、帽子、あれば双眼鏡やデジカメ
参加費:1000円(シテコベのサイトにお申し込みください)

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コラム

テーマパークで自然環境の保全は可能か?

 私たち三浦半島自然保護の会の60年余りの歴史は、自然破壊を見つめてきた歴史でもあります。具体的に例を挙げれば切りがありません。しかもその自然破壊は現在も進行中です。つまり時代時代で開発の手から逃れた自然環境が次世代に受け継がれず、次の時代に開発されてしまう図式です。

 その中でも量的に大きく残された自然環境があります。例えば横浜市瀬谷区にある上瀬谷通信施設跡地です。米軍によって昭和26年に接収されましたが、平成27年に返還になった広大な土地です。横浜市では土地利用計画の策定を進めているようですが、その中で国際花博やテーマパーク誘致の構想を打ち出しました。

 皆さんはテーマパークというとどんな施設を思い浮かべるでしょうか。多くの方が東京ディズニーランド、東京ディズニーシー、USJなど複合型行楽施設を思い浮かべるでしょう。これらは総合的なテーマを決めた遊園地です。これらの遊園地では「ディズニー」や「ハリーポッター」など西洋の非現実的な架空空間を作り出すことで人気を博しています。人が多く集まることで経済的には潤いますが、行政がこれを誘致する必要があるでしょうか。

 経済的には潤わなくとも日本の文化や自然環境を後世に残すためのテーマパークがあっても良いはずです。多くのテーマパークが経済的に破綻して閉園に追い込まれた過去がありますが、初めから経済効果を期待しなければ破綻はないと考えてよいでしょう。

 規模の小さなテーマパークとしては、昭和の物品などを集めた懐古的なテーマパーク、子供が職業体験できるテーマパーク、時代劇の街並みを再現したテーマパークなどもあります。自然環境的なものとしては横浜の舞岡公園なども里山環境を題材にしたテーマパークと言えるかもしれません。舞岡公園は入場無料で大きな経済効果(大儲け)は望めませんが、人の心を癒す効果や自然環境を保全する効果は大きいはずです。

 テーマパーク=西洋文化的な遊園地=お金が儲かるという図式ができ上げっていますが、税金で行う施策としては市民に平等に、しかも恒久的に価値のあるものを作る必要があると思います。

 自然環境を保全しながら誰もが楽しめるテーマパークのアイデアとしては、古くは「コロボックル」や「隣のトトロ」などをテーマとして、100年前の農村の風景…田畑や家屋など…を復元してその中で自然体験や農業体験できるものが考えられます。そのテーマパークにはサンクチャリ(野生動物の聖域)を取り入れたり、発展させたりすることも可能でしょう。希少になりつつある在来の生き物を保全して、外来種を排除する特別保護区にも為り得るでしょう。そして100年後の人々には200年前の風景として更に貴重であるに違いありません。大きな問題としては私たち市民がそれを望むか、それを受け入れるかということです。

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コラム

この公園、どう使いますか?

「初めて来たけど、何もないところね」。

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年配のご夫婦がそう言って公園をあとにしました。

ぽかぽか陽気で過ごしやすい気候ですが、確かにこの公園には人が少ないようです。

だだっ広い芝生で転げ回っている幼児が少しいました。

奥地に行ってみると、地面に這いつくばって目を皿のようにして草花や昆虫を探っているアマチュア研究家の姿もちらほら見られます。

さて、一般には「何もない」と評価されてしまっているこの公園、「そんなことないよ」と思っているあなたなら、どのように大自然の世界へ人々を誘いますか。

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コラム

これでも再生可能ですか

「再生可能エネルギー」のために三浦半島の森がみるみる減っています。

太陽光発電は、余っている屋根面や人口造成地など、「日光の当たっているだけの場所」で電気を生み出すことができる画期的な方法です。ところが、森を切り開いて広大にソーラーパネルを設置するメガソーラーが、三浦半島でも目立つようになってきました。

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津久井や田浦など、現在でも広がりを見せています。これも「再生可能エネルギー」と呼ばないといけないのでしょうか?二酸化炭素の唯一の吸収源である植物の塊を失ってまで推し進めることでしょうか?横須賀では高効率の石炭火力発電所ができようとしていますが、石炭か森を蝕むソーラーかを選ばないといけないのでしょうか?そもそも電気使用量を減らす生活をすることを心がけなければと思っています。

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コラム

観察者から証明者になろう

先日ある行政の環境会議で、市長がおっしゃっていたことにはっとしました。「観察も良いけど、市民の利益も考えないといけないよね」。一般には、観察はごく一部の専門家が勝手にやっていることで、普通の市民生活に絡むことはないと思われているのかも知れません。もちろんそんなつもりはないのですが、観察してきた膨大な蓄積を世の中にきちんと還元できているかと問われれば、個人的な興味として胸の内にしまってしまっていることもあるかもしれません。

自然観察から得た情報を、自然誌資料として上手に活かすことができれば、これまで自然と疎遠だった人にも少しは関心を持ってもらえるかも知れません。情報は学会や博物館の論文、「自然のたより」など市民団体の会報など、重要性などを考えながらさまざまな媒体に投稿することでオープンにできます。また、自然の中で得られる感動や驚きは、観察会・体験会を通して共有することができます。観察をしていると、自然からの落とし物を発見することがよくあります。その時は、記録として文面や写真に残すだけでなく、拾っても生態系に影響がないものであれば拾って、形に残すことをできればもっと公表できる裾野は広がるかなと思います。なるべく私する情報を減らすことを、意識的に心がけたほうが良いかなと、あらためて思いました。

もちろん、盗掘の恐れのある希少種情報などは厳しく管理する必要もお忘れなく。

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今回はミゾゴイが須軽谷で死んでいたとSUさんからSHさんに連絡が行き、SHさんから僕に連絡が来て、さっそく拾って受け渡していただきました。解剖してみると、胸に動脈まで達する穴が開いていました。もしかするとオオタカなどに襲われたのかも知れません。剥製にする技術を身につけたので、残すことができました。いずれどこかで展示できることを心待ちにしています。博物館も、拾ってくる死体全てを剥製にする予算はないそうです。貝殻や昆虫の標本などをアマチュアでやっている人口はそれなりにいるようですが、剥製まではなかなか手が出ず、いつも置き去りになっている個体がいるのではないでしょうか。僕もその思いから、(でも外注するとお金がいくらあっても足りないので)自分でやるようになりました。もし素敵な(?)死体を拾った際は、ご一報いただけますと幸いです。

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コラム

蔑ろにされた環境政策

三浦半島は我が国の自然保護活動黎明期から市民活動が活発で、例えば武山の近郊緑地特別保全地区の指定は三浦半島自然保護の会が取りまとめた自然環境調査によってその保全重要性が評価されてのことでした。高度経済成長期での活動は、失う物も非常に多く、活動家がそれこそ人生を捧げながらごくわずかな担保性を勝ち取っていったのでした。

野比のかがみ田は、ゴミ処理場となって埋め立てられる計画があり、当時は教員、学芸員、弁護士、自治会、病院等、所属を問わず自然保護運動が展開されました。そして公害審査会への申し立てにより建設は断念され、塩漬けになっていました。その間も、谷戸の手入れがされなくなったことにより湿地の環境が失われ続け、様々な有志により保護の取り組みが行われていました。

土地を所有する横須賀市は、2014年にかがみ田谷戸を資源循環部から環境政策部へ所管換えして環境保全するよう吉田前市長が判断し、ここで里山的環境保全活用事業を進めることを正式に決定し、地元の学校や町内会へ説明してきました。これまで保全運動に取り組んできた人の中には、この決定を見ることなく亡くなった方もいらっしゃいますが、長年の取り組みが40年越しでようやく実を結んだ瞬間でした。関係する市民団体にも声がかかり、市民と役所が協働で保全活動に取り組むことになりました。それぞれの生物を調査しながら、現地の環境管理を行い、常に自然環境の状況と保全の取り組みを検証しながら、生物多様性を適切に保全する姿勢を確立しました。手入れに関わる人の姿勢としては、石橋を何度も何度も叩いて渡る感じです。特に、半世紀にわたり農家による伝統的な管理がされてこなかった影響は大きく、崩れた地形をどうフォローしていくかが最大の課題となっています。

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ところが、今年の夏から地権者である市役所の姿勢がぶれてきました。谷戸を流れる河川を細く深くするように手を加えられてしまったのです。谷戸の用水路は、流れにより浸食されすぎないよう、木杭などで土留めをして谷底面との高低差が開きすぎないように管理するものです。ところが、コンクリート護岸の都市河川と同じように、川底の杭を取り除いて壁を垂直にしてしまっています。これでは生き物の移動も阻害されますし、川が浸食されれば斜面林の地滑りを誘発することになります。現在、横須賀市にはこの件に関して申し入れをしているところですが、河川を所管する土木部の姿勢は頑なです。かがみ田谷戸を保全エリアとするとしてきた、我々の長年の悲願でもあった市の英断が、一部署の心変わりによって蔑ろにされつつあります。環境政策こそ、何十年、何百年と継続・更新が大切なのですが・・・

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観察記録

まんまるオタマ

9月13日、横須賀市野比かがみ田にて大きなオタマジャクシを見つけました。大きさはウシガエル級ですが、体の透き通り具合や目の離れ具合から、アマガエルであると思われます。

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両生類は卵から幼生、幼体へと短い期間にどんどん体の形が変わってきます。これを変態と言いますが、どう変態するかは卵の発生のときに決まっています。中学高校の生物の資料集に、カエルやイモリの卵の一部分を切り取って別の卵に移植したりして、本来頭になる部分を2つにしてみたり、他の器官になる部分を削ったりしてへんてこな幼生を意図的に作り出す実験が掲載されていると思います。勝手に奇形ができてしまっては種の存続に関わりますので、通常はあり得ないことですが、まれに野外でも卵が傷ついたりしておかしな幼生が生まれることがあります。

おそらくこの個体は、オタマジャクシからカエルへと変態するスイッチを失って、ただひたすらに大きくなり続けているのだと思います。

ところで、ペットでも人気のウーパールーパー(アホロートル)も、じつは幼生の形のまま大きくなります。本来はイモリやサンショウウオのように、大人になるとエラがなくなって肺呼吸になるはずですが、ウーパールーパーの場合は幼生の形のまま大人になり、ちゃんと卵も産みます。これを幼形成熟と言います。環境条件によっては、ウーパールーパーもちゃんとエラがなくなってイモリのような形へと変態することがあります。

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さて、まんまるオタマの行く末やいかに!?