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その他

沢沿いのマルバコンロンソウ

3月5日葉山町の森戸川沿いの林道でマルバコンロンソウが花を咲かせていました。

マルバコンロンソウはアブラナ科ですが、神奈川県内では丹沢や曽我丘陵に分布していて、三浦半島では珍しい植物です。

林道の陽だまりに咲くマルバコンロンソウ
アブラナ科のマルバコンロンソウの花弁は4枚

この林道には10株ほどのマルバコンロンソウがありますが、ここに注いでいる沢の上流部にはもっとたくさんあって、種子が流れてきて発芽したもののようです。

ここでは毎年4月中旬に花の盛りを迎えますが、今年は例年に比べると1週間ほど早いようです。

他にもこれから5月中旬ころまでは春の花が次々と咲いて山が賑やかになります。

別の場所ではオオバタネツケバナが咲いていました。この植物もアブラナ科ですが、口に入れて噛むとクレソン(これもアブラナ科の外来種・正式な和名はオランダガラシ)のようにピリッとします。

同じアブラナ科のオオバタネツケバナ・・・こちらは普通種です。

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その他

十三峠のアオイスミレ

田浦から十三峠を通って塚山公園へと続く道は、江戸時代からある旧浦賀道です。

3月25日、その一画にある草地に自生しているアオイスミレを見に行きました。アオイスミレは三浦半島では局地的に分布している珍しいスミレです。

あちこちにタチツボスミレとコスミレは咲いていましたが、ここのアオイスミレは10株ほどしか見られず、花は一輪だけでした。冬の間に周りのアズマネザサを少しだけ刈っておいたので、日当たりは良くなっていて株はしっかりと育っていました。これからまだ花を付けるのかもしれません。

十三峠のアオイスミレ

塚山公園ではこれも三浦半島には少ないアマナの花も咲き始めていました。

塚山公園に自生するアマナ
「地獄の釜のふた」の別名をもつキランソウ
タチツボスミレは競うようにあちこちで咲いていました。
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三浦半島の野鳥

ゴンズイを食べるウミウ

ゴンズイは背びれと腹びれのトゲに毒を持ったナマズの仲間です。

このゴンズイを食べるウミウを観察しました。1月28日に馬堀海岸の岸壁を歩いていると、観音崎方面から飛んできたウミウが近くの海上に着水しました。

海上に浮くウミウ

そのウミウは潜水を繰り返し始めて、すぐに大きな魚をくわえて浮上してきました。

それがゴンズイでした。

ゴンズイのエラの辺りに嘴を突き刺すウミウ

ウミウはゴンズイを何回も振り回したり、鉤状に尖った嘴の先端で突いたり、くわえなおしたりして数分後に食べました。

食べ方はもちろん鵜呑みです。

頭の方から吞み込むのがトゲが刺さらないコツのようです。

ゴンズイを何度もくわえなおす若いウミウ

ウミウは2匹の大きなゴンズイを食べると観音崎方向に戻って行きました。短い観察時間でしたがこの日は2羽のウミウの採食行動を観察しました。

近くの猿島には夕方になると数百羽のウミウが帰ってきて、ねぐらを取ります。

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三浦半島の野鳥

汀のミユビシギ

1月2日 三浦市上宮田の三浦海岸でミユビシギの群を観察しました。

ミユビシギは6月から7月に北極圏で繁殖し、日本では8月~5月頃まで見られる渡り鳥です。

三浦海岸のミユビシギは20羽ほどの群で砂浜の波打ち際を歩き回って何かを食べていました。

波打ち際を走るミユビシギ

ミユビシギは波によって打ち寄せられる細かい有機物を食べますが、この日はこぞって小さな粒状のものを食べていました。

透明で小さな粒状のものを食べるミユビシギ
波で砂浜に線状に打ち上げられた粒を食べるミユビシギ

はっきりとは分かりませんが、沖で産卵され浮遊して海岸にたどり着いたボラの卵かもしれません。

もちろん食べていたミユビシギたちも自分たちが何を食べているのか知らないと思います。

ミユビシギは細かいものを食べることで他の鳥との競合を避けていますが、食べているものが細かすぎるので一日中食べ続けなければなりません。

砂浜を走り回るミユビシギは英語ではSanderling(サンダーリング)と呼ばれています。

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三浦半島の野鳥

オオバヤシャブシの実とマヒワ

1月9日の朝、湘南国際村めぐりの森で冬鳥のマヒワの群を観察しました。

マヒワは数十羽でオオバヤシャブシの木に群がっていました。マヒワの目的は球果(きゅうか)と呼ばれるオオバヤシャブシの松ぼっくりのような実です。

オオバヤシャブシの球果
オオバヤシャブシに群がるマヒワ(1月9日)

マヒワたちは先のとがった嘴で球果の隙間から種子を取り出して食べるのに夢中でした。ここにはオオバヤシャブシがたくさんあるので少し前から滞在しているようです。

オオバヤシャブシの種子を食べるマヒワの雄(1月14日)

オオバヤシャブシは伊豆七島などでは火山地帯に生えるパイオニア植物(やせ地に最初に生えてくる先駆者)として知られています。湘南国際村はかつてゴルフ場として表土を削られた場所なのでオオバヤシャブシをはじめ、アカメガシワやカラスザンショウなどのパイオニア植物が多く見られます。

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観察記録

小春日の越冬蝶

11月26日 横須賀市芦名の谷戸「風早」で日向ぼっこをしながらお昼ご飯を食べていたら、蝶が次々と現れて林縁にとまりました。

アカタテハとムラサキツバメは地上から1mほどの高さの葉の上で翅(はね)を広げてひなたぼっこ。クロコノマチョウは林縁の地上で翅を閉じたままでした。

アオキの葉の上で日光浴するアカタテハ
イヌビワの葉の上で翅を広げるムラサキツバメ

また別の日(11月30日)には同じ場所にウラギンシジミとテングチョウもやって来ました。

翅を広げて日光浴するウラギンシジミ

ここは日陰が多い谷戸なので蝶が日光浴する良い場所が限られているのかもしれません。今回観察した蝶はみな成虫で冬を越す蝶です。もう少し寒くなると見かける機会がずっと少なくなります。そしてまた3月ごろになると見かける機会が多くなります。

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観察記録

道端のカラスノゴマ

11月17日 車で通りかかった横須賀市田浦大作町で変わった実を付けた草を見つけました。と言ってもすっかり葉を落としていましたが、その特徴からカラスノゴマと分かりました。カラスノゴマは少し珍しい植物ですが、ここでは道路脇のアスファルト上に堆積した土の上に十数本が生えていました。

たくさんの実を付けた道端のカラスノゴマ

花の時期は9月から10月ですが、探してみたら1輪だけ咲き残っていました。種はいっぱいあるのできっと来年も生えてくると思います。

ひとつだけ残っていたカラスノゴマの花(11月17日 田浦大作町)



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コラム

空飛ぶキジョランの種

11月11日、大楠山の北に谷でキジョランの実を拾いました。キジョランはガガイモ科のツル植物です。
拾ったキジョランの実は裂けていて中から白い冠毛を持った種がたくさんこぼれ出ていました。

冠毛のついた種が出てきたキジョランの実

その一つをつまんで空中に放すとフワリと宙に浮いて、そよ風に乗って飛んで行き、大楠山の山頂方向に消えていきました。

キジョランの種は扁平でとても軽く、そこに付いている冠毛はとてもふんわりしています。
秋から冬には同じように冠毛を持ったテイカカズラの種を地上によく見ますが、キジョランの実はテイカカズラの実よりもずっと軽くできています。
私はキジョランのツルの下でその種を見たことがありません。ほとんど全ての種が風で遠くに飛ばされてしまうのです。

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自然観察会の報告

観察会報告 晩秋の花 11月14日 

十三峠から望む横須賀港

天候:晴れ  参加者:8人
コース:JR田浦駅10:00~長善寺~大田坂~十三峠~塚山公園~逸見駅14:30

 田浦の街の和菓子屋さんに立ち寄ってから、十三峠に向かいました。この和菓子屋さんは後継者がなく近く廃業してしまうそうです。
 浦賀道の難所とされていた十三峠に登る大田坂も今は、舗装されて道の脇には外来種のトキワツユクサが目立ちました。

今は舗装されている大田坂の階段

 十三峠にもペラペラヨメナヒメツルソバなどの外来種が見られましたが、徐々にシロヨメナ、タイアザミ、コウヤボウキなど昔からこの道にあったと思われる花が見られるようになりました。

県立塚山公園の領域に入ると更に花が多く、他では見られなくなってしまったアキノキリンソウをはじめ、ツリガネニンジン、アキノタムラソウ、キッコウハグマなどが多く咲いていました。

三浦半島の各地で少なくなったツリガネニンジンもここにはたくさんありました。

 晩秋の花も終盤で、公園の一部では草刈りも始まったようで、草花の成長に合わせて草刈りを行っている公園の管理が見て取れました。







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自然観察会の報告

晩秋のバッタ

11月2日、横須賀市池上で草刈りを行いました。ハンマーナイフ(草刈り機)を使うとその振動に驚いて出てきたのは、たくさんのバッタたちでした。刈った草はチカラシバ、セイタカアワダチソウ、セイバンモロコシなどです。


 コバネイナゴ、クビキリギス、ツユムシが多く、次々と飛翔して逃げました。

ススキにとまったコバネイナゴ
大アゴの朱いクビキリギス
チカラシバの穂のフサフサに苦戦するツユムシ

谷戸の田んぼなどで見られるハネナガイナゴやセスジツユムシがいなかったのは環境のせいか或いは時期のせいかもしれません。
 そのほかにツチイナゴ、オンブバッタ、ショウリョウバッタモドキ、クサキリも少数が見られました。

ブルブルと音を立てて翅を震わせるツチイナゴ
ショウリョウバッタモドキは2・3匹
1匹だけ見られたクサキリ

夕方には気温が低くなり、バッタたちが草刈り機に巻き込まれそうなので、草刈り作業を中断しました。

ススキなど一部を島状に残しておきました。